集団的消費者被害回復訴訟制度が可決成立しました

「消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案」が、2013年12月3日(火)、参議院消費者問題に関する特別委員会にて、審議・採択され、全会一致で可決されました。翌4日(水)、参議院本会議にて、同法律案が可決され成立し、同月11日(水)に公布されました。そして、公布日から3年以内に施行されることになっています。

 

1.経緯

すでに2007年より、業者の不当な勧誘行為や、違法な契約条項の使用などを止めるために、内閣総理大臣の認定を受けた適格消費者団体が、差止請求訴訟を提起できるようになりました(消費者契約法12条、特定商取引に関する法律58条の18以下、不当景品類及び不当表示防止法10条、食品表示法11条〔公布日である2013年6月28日から2年以内に施行予定〕)。特定非営利法人消費者支援機構福岡(CSOF)も、2012年に内閣総理大臣の認定を受け、業者への申入れ活動や、差止請求訴訟を行っております。

ただ、上記の申入れや差止めは、将来の消費者被害を防止するものであり、すでに生じた消費者被害を回復するためには、最終的に個々の被害者が訴訟を提起するほかありませんでした。しかし、訴訟は経済的・時間的なコストがかかり、敗訴のリスクもあるため、多くの消費者被害が救済されないまま、放置される現状がありました。

消費者被害を救済する制度の創設は、遡れば2001年の司法制度改革審議会意見書において、すでに提言されていたものであり、それから今日まで、世界各国の現状も調査しつつ、長い検討が積み重ねられました。CSOFも、パブリックコメントに対する数度の意見表明、議員への働きかけを行うなど、消費者被害救済制度の実現に微力を尽くしてきました。今回の立法は、多くの関係者の努力の結晶であり、CSOFは、この法律の成立を心から歓迎します。

 

2.新訴訟制度の内容

今回立法化された新訴訟制度では、消費者契約に基づいて生じた被害につき、まず第1段階として、内閣総理大臣の認定を受けた特定適格消費者団体が、事件の全貌について事業者の責任を確定するための訴訟を提起します。被害者個人は、その勝訴判決の後の第2段階で、簡易な手続に従って自らの被害を届け出ることとなります。この仕組みによって、これまで被害救済のハードルとなっていた経済的・時間的コストや敗訴のリスクが、大幅に軽減されることになりました。

この制度は、消費者問題に取り組む者にとっての悲願であり、差止制度と相まって、消費者被害の予防・救済を総合的に実現する骨組みとなるものです。

 

3.今後の課題と取り組み

もっとも、今回の立法では十分に手当てができなかった課題もあります。具体的には、今回の新法施行以前に生じた過去の被害については、新訴訟制度を利用できないこと、新訴訟制度の対象となる事件類型に欠陥商品による人身被害などの拡大損害が含まれておらず,また慰謝料請求も認められていないなど適用範囲が限定的であること、新訴訟制度の担い手である特定適格消費者団体の財政的基盤が、おおむね寄附等に委ねられ、十分な支援制度が整備されていないことなどが挙げられます。これらについては、今後も法の見直しに向けた積極的な活動が必要です。

また、新訴訟制度は、消費者団体と消費者の関係についても、見直しを迫っています。今後は、消費者団体と被害に遭われた消費者が、一層緊密に連携する必要があります。消費者団体は、不断に消費者被害の実態をつかみ、被害者の方々とコンタクトを取って情報提供を受け、個別の事情やニーズにも十分に目配りしつつも、消費者被害のトータルな救済を目指して、新訴訟制度を実効的に利用することが求められています。

CSOFも、新訴訟制度が描く新しい消費者団体のあり方を真摯に受け止め、今後も一層、消費者被害の撲滅、望ましい消費者市場の形成に貢献してゆきたいと考えています。

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